吹き満ちて
白きうねりの
花の路
大高英子(梅林会員)
毎年、桜の見納めは浅川沿いの桜(染井吉野)と全国から集められた名木、天然記念物や栽培品種のクローンと接ぎ木などが約500種、1,400本が植えられている森林科学園に決まっています。残念ながら天気予報では当日は雨です。昨年も雨でした。歩くのに危険じゃない限り例会は実施します。「春雨じゃ、濡れて行こう」と風流を決め込んで‥‥、雨には雨の良さがあります。
八王子は千人同心が治めた城下町です。千人同心の史跡や遺跡は昭和20年の米軍の爆撃により焼失、破壊されました。戦災を免れた極楽寺で千人同心、長田作左衛門と塩野適斎の墓にお参りします。
作左衛門は御成街道の策定や八王子の開祖として知られています。町田に在る木曽一里塚、小野路一里塚は御成街道の道標です。適斎は多摩地域の歴史、文化、伝承等を調べ、新編武蔵風土記稿に著しています。杉山神社、左馬神社の由来、起源が不明なのは、当時から文献、資料、伝承が存在していなかったからです。民俗学者、柳田国男も関心を持ちましたが、結局、わからずじまいです。千人同心は日光東照宮の防災や北海道開拓に尽力した事で知られています。
陵南公園は東京オリンピックの自転車競技の会場でした。事務所の前にモニュメントが残っています。多摩御陵へ参拝するために敷設された御陵線も米軍の爆撃を恐れ、廃線になりました。今は橋脚が残っているだけで、その存在すら忘れ去られています。多摩御陵には平成天皇の陵(みささぎ)が設(もう)けられています。
森林科学園は8ヘクタールの広さの森林に、山道に沿って植えられた桜が咲いていて、全山桜色に染まっています。まるで桃源郷に迷い込んだ様な素晴らしさです。桜の見納めには相応しい場所です。
次会4月24日(水)「若葉の里山・源流(一級河川鶴見川源流)」鶴見川は多摩丘陵の七つの谷戸から湧き出ています。多摩丘陵は今、若葉で萌えています。小鳥は子育ての時期に入り、鶯も美声を聞かせてくれます。都市型一級河川の宿命として鶴見川は生活汚水の流出経路として利用されています。日量1,300tの水が湧出している田中谷戸源流の直ぐそば迄、住宅が迫っています。田中谷戸から多摩丘陵に分け入り、里山を歩きます。普段、滅多に歩けるところではありません。お楽しみにご期待ください。
本日は、お疲れ様でした。殆ど平たんな道で歩き易かった事と思います。唯、雨で大変でした。風邪を引かない様、お気を付けください。でも、雨にもめげず歩いた皆さんの意志の強さは本当に称賛に値します。きっと良い事が沢山ありますよ。お気を付けてお帰り下さい。次会も笑顔のあなたにお会い出来るのを楽しみにしております。
村田淳郎
※御成街道(おなりかいどう)…徳川家康の遺骸を静岡久能山から日光東照宮へ運んだ道。
桜
一刻一瞬
つかの間の輝き
未練、惜別の情
残さず
咲き散る桜花
無情に愛しく
麗し
美しき、儚く
悲しきものよ
村田淳郎
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